Eラーニング・手法SMCの基本的な概念

【ポケモンカードで学ぶスマートマネーコンセプト】その②相場のインバランス(不均衡)

こんにちは、Jeff.Naoです。

ポケモンカードで学ぶスマートマネーコンセプトというテーマで、スマートマネーコンセプトについて比較的優しく理解してもらうおうという事がテーマのこのセッションですが、今回は2回目のセッションとなります。

前回のセッションは相場の流動性について解説させてもらいましたが、今回のセッションではインバランスと呼ばれる相場の不均衡について解説していきたいと思います。

事前に簡単に説明すると、相場の流動性において、流動性が低い場面や変化する場面では売買のバランスが崩れやすいという話を前回のセッションでしましたが、インバランスとはこの売買のバランスが崩れる事を指します。

もし、前回の相場の流動性についてのセッションをまだ見ていないという方は、一度見てもらった後にインバランスについて理解する方がイメージがしやすいと思います。

【ポケモンカードで学ぶスマートマネーコンセプト】その①相場の流動性
こんにちは、Jeff.Naoです。スマートマネーコンセプトを理解していく上では、まずこの概念を理解していく事から始まります。スマートマネーコンセプトというのはいくつかの独立した要素をひとまとめに整理した「概念」である事、これを前提として知っ

また、スマートマネーコンセプトの要素であるインバランスに関しては、フェア・バリュー・ギャップと呼ばれるチャート上に見られる動きにも関わってきます。こちらは要素の意味としては非常に似ているのですが、今回は相場の不均衡(Imbalance)をテーマにしたものですので、切り分けて基本を学んでもらえればと思います。もちろん、併せて理解して頂けると良いと思います。

相場のインバランス(不均衡)とは?

 

市場価格は需要と供給のバランスを常に保ちながら左右していきますが、様々な要因によってこの需要と供給のバランスが崩れてしまう事があります。

相場のインバランスとは、この様な需要と供給の間でバランスが崩れた不均衡状態を指します。要するに、相場における売り手と買い手のバランスが取れていない状態で、売り手が多く売られすぎに傾いていたり、あるいは買い手が多くて買われすぎに傾いてしまっている状態にあります。

この様な状態では、市場参加者の意識や取引のパターンが一方の方向に傾いてしまいやすい傾向にあるため、相場の価格や参加者の取引量に強く影響を与える状態になります。例えば、相場のバランスが買い手の方に傾いてしまうと価格が上昇しやすくなり、逆に売り手の方に傾いてしまうと価格が下落しやすくなります。

相場においてインバランスは一時的に発生するものや、長期間続く持続的なものがあります。市場に参加するトレーダーは、常にこの相場のインバランスを分析し、市場の方向性やリスクを見極めながら戦略を立てていく事が重要です。

ポケモンカート市場でも頻繁に発生するインバランス

例えば、新しいポケモンカードが発売された場合、その中に封入された人気のキャラクターや特殊な能力を持つポケモンのカードは、プレイヤーやトレカ業者から多くの注目を集め、これらのカードを欲しがる人が一気に増える(需要が高まる)ケースはよくあると思います。

しかし、その一方カードの供給量は限られている為、例えば100枚しか市場に販売されていないカードに対して買いたい人が500人いた場合、市場における供給と需要のバランスが崩れ、カードの価格が急騰します。欲しがる人が多い場合、それが限られているのであれば価格を大きく上げても売れるからです。

このような状況では、売り手側は高騰した状態の価格で売ることができる一方で、買い手側は高額な価格を支払わなければならなくなります。このように、需要と供給のバランスが乱れた状態がポケモンカード市場におけるインバランスと言えるでしょう。

【相場のインバランスの基本とおさらい】
・インバランスとは、相場の需要と供給のバランスが大きく崩れる事
・インバランスが発生すると価格が一方に大きく動く
・インバランスは様々な要因で発生する

何故、インバランスが生じるのか?

相場においてインバランスが生じる原因は様々ありますが、主な原因となるのは3つあります。

情報の非対応性によるインバランス

情報の非対称性については、前回のセッションでも解説を行いましたが、市場に参加者している人たちの間の情報量に差がある状態の事を言います。

市場において参加者の情報の非対応性が高い状態の時は、情報を持つ参加者が先取りして大きく取引を行うことで、価格が急激に変動することがあります。

例えばポケモンカードにおいて、大きな大会やトーナメントの優勝者デッキで使用されていたカードはその後に高騰するケースがありますが、そのデッキの内容が一般に公開される前に内容を知りえた大会の参加者や関係者が事前に大量にそのカードを買い集める事で、突然該当のカードの相場のバランスが崩れて高騰する事があります。

この様な状態は、情報において非対応性があると言えるでしょう。

市場心理によるインバランス

市場心理によるインバランスは、市場参加者の心理や思考が取引に影響を与え、その結果需要と供給のバランスを崩した際に起こります。

例えば、ある市場での経済や業績の好転、好材料の発表、市場の活況などによってポジティブな市場心理が広まると、今のうちに買っておいて将来高くなったら売ろうと考え、積極的に買っていこうという人が一気に増えて価格が上昇する傾向が強くなります。

逆に、経済や業績の悪化、将来の先行きの不安、市場の盛り上がりも欠ける様なネガティブな市場心理が広まると、売り手が増えて一気に価格が下落する傾向が見られます。

この様な時に一方に取引の方向が偏ってインバランスが発生します。

例えば、ポケモンカードの新弾のブースターパックが発売された時に、その中に強力なカードや高額な価値が付きそうなカードが封入されている場合、そのパックの需要が高くなり、供給が追い付かなくなる事で、特に発売直後は転売の価格が一気に高騰する事があります。

しかしその後、例えば初弾の10倍の量でブースターパックの再販がメーカーから発表され、どのプレイヤーに対しても十分な供給量が見込める事がわかった瞬間、希少価値が少なくなったという心理からそのパックの価格や、封入されている高額カードの価値が一気に下落する事があります。

突発的な出来事によるインバランス

市場における突発的な出来事によって起こるインバランスは、参加者が予測不可能な出来事が起こる事によって、市場参加者の心理や取引行動が一時的に混乱し、正常な判断が出来なくなってしまう状況を指します。

この様な突発的な出来事の主な例としては、政治的な発言や自然災害、企業の予想外の業績発表や各国でのテロ攻撃の発生等が挙げられ、これらの突然の発生によって市場参加者のこれまでの期待や予測を急激に変化させる事になり、需要と供給のバランスが大きく崩れる事があります。

また、こういった状況では市場参加者も取引に対して慎重になり、相場の流動性が大幅に低下(売買の参加者が減少)しますので、これらもインバランスを引き起こしやすくさせている要因となります。

ポケモンカードの世界でも、近年鑑定会社の最高評価がついた高額レアカードの偽造品が多数発見されたニュースが流れた事で、ポケカ市場に混乱を与えて数日間大幅な価格変動を起こしていました。この時の状況はまさに突発的な出来事によってインバランスが発生していたと言っていいでしょう。

基本的には市場はその性質として情報が広く共有される事で、価格を調整する力を持っています。しかし、市場の大半が予想もしない突発的な出来事が起こってしまうと、例え情報が広く共有されているとしても、その調整力が追い付かなくなり、インバランスが発生して価格が急激に変動する事があります。

【インバランスが起きる原因のおさらい】
情報の非対応性におけるインバランスの発生
市場心理におけるインバランスの発生
突発的な出来事によるインバランスの発生

市場におけるインバランスの発生

実際の市場におけるインバランスの発生は、上記の画面の緑色の四角部分の価格帯となります。インバランスの発生時は価格の需要と供給のバランスが崩れ、その後大きな値動きが起こったりトレンドが発生したりしています。

なお、上記では緑色の四角部分の価格帯はFVGと記載されていますが、これはスマートマネーコンセプトにおける、フェア・バリュー・ギャップの発生を意味します。インバランスが発生する事で、チャート上でフェア・バリュー・ギャップという価格差が表示されます。

今回はインバランス(不均衡)についての基本的な解説を行っているため、フェア・バリュー・ギャップについての市場の状態の詳細や取引方法についてはここでは割愛しますが、フェア・バリュー・ギャップについてはこちらで解説していますので、是非この記事と併せて参考にして下さい。

スマートマネーコンセプトにも関わるフェア・バリュー・ギャップの理解を深める
こんにちは、Jeff.Naoです。今回は非常に有用なトレード手法の一つである、フェア・バリュー・ギャップ(Fair Value Gap)と呼ばれる市場に発生する現象と、その傾向を考慮してトレード戦略に取り入れるための実践的な考え方と簡単な手

インバランスとスマートマネーの動き

ここまでで、相場の様々な要因によって起こり得るインバランス(相場の不均衡)が起こる事によって買い手と売り手のバランスが崩れ、急激な価格の変動が起こりやすくなるという事を説明しました。

インバランスが起こる事で市場価格が実際の価値から乖離する事になり、商品の価格が適正価格ではない状態で売買が成立する可能性が高くなるという事です。つまりは、スマートマネーと呼ばれる巨大な資金力を持った参加者にとっては、市場のインバランスを見抜く事で「とてもお買い得に手に入る」「とても高く売る事が出来る」という利益を追求するチャンスでもあります。

適正価格への修正を見越したスマートマネーの戦略

スマートマネーが取り扱うトレード戦略の中の1つには、インバランスが発生して価格が過度に上昇または下降した際に、それが適正価格ではない事を分析して、逆のポジションを取る事でこの先、適正価格に修正されていく事を見越して利益を手にするというものがあります。

インバランスが発生して価格が大きく上昇、または下落した際には、その商品が一時的に本来の適正価格よりも「高すぎてしまっている」「安すぎてしまっている」という状態になってしまっている可能性が高く、この様にかけ離れてしまった市場は健全ではないため、その後適正価格に向かって修正が働いていく事が市場の原理です。

この市場の流れを先読みする事で、高騰または急落した後に適正価格に修正される事を見越して、その方向と逆の方向にポジションを取る事でスマートマネーは利益を手にします。

ポケモンカードの売買に例えてみると、鑑定会社の最高評価がついた高額レアカードの偽造品が多数発見されたニュースが流れた際に、該当のカードを所有する多くの人たちが価値が下がりきる前に手放そうと、次々と市場に売り出しました。それによってインバランスが発生し、本来であれば「安すぎてしまっている」状態で該当のカードの取引が成立していました。

しかし、偽造品の対策や鑑定方法の見直し等、価値の信用の整備が整ってきた事で、急落したカードの価格もある程度適正価格に向かって修正されていくようになりました。この時、「安すぎてしまっている」状態でカードを手にした人は、本来の適正価格に近づいたタイミングで売買取引を成立させる事で、元に戻った価値に対しての利益を出せる様になります。

適正価格に修正されるという事は、「元の価格まで戻る」という訳では無い事にご注意ください。例えば、本来50万円の価格があったカードがインバランスによって10万円まで価格を下げて売買されていた場合、安すぎた事でその価値が修正されていったものの、偽造に対する懸念材料が100%払拭できていない事で、全体的な価値自体はやはり下がったというのは考えられる事で、修正された適正価格は35万円くらいとなるという可能性があります。

インバランスを自ら引き起こすスマートマネーの戦略

ある場面によっては、スマートマネーが自ら巨大な資金を投入する事によって相場にインバランスを引き起こす戦略もあります。

これらの戦略を取る事で、スマートマネーが相場においての主導権を持ち、発生したインバランスを利用して利益を獲得しにいくのです。ただし、これらの手法は市場では確実に取られているものの、実際のところはこういった方法の一部は市場の規制や倫理観に反する場合も多々あり、ブラックボックス化されている部分もありますが、いくつか例を挙げてみます。

まず、マニピュレーションと呼ばれる価格操作があります。これに関しては市場においてよく見られるスマートマネーの戦略のため、後のセッションでも詳しく解説する機会を設けます。

マニピュレーションは簡単に言うと、意図的に大量の注文を出す等をして需要と供給のバランスを崩す戦略です。例えば大量のストップロスが予約されている価格帯に近づいた時に巨大な資金を投入してそのストップロスを成立させる事で、次々に注文を巻き込んでインバランスを生じさせるものです。トレードでは「ストップ狩り」と呼ばれる事もよくあります。

また、似たような巨大な資金の投入方法として、マーケットメイキングと呼ばれる、特定の価格帯にて大口の注文を行うことで、参加トレーダーたちの取引に対しての行動や市場の心理を一定方向に誘導、その結果インバランスを生じさせる様な戦略があります。例えば、上昇トレンドが続く中で1ドル149.9円の時、節目である150円を越える事は一つの壁となり得るポイントとなり、市場の参加者も慎重になる場面です。

こういったタイミングで大量の資金を投入して、一気に150円を突き抜けさせる事で参加トレーダー達の心理を買いの意識に傾かせる事でインバランスを起こさせ、相場の動きをコントロールする様な戦略を取ります。

【スマートマネーのインバランス戦略のおさらい】
適正価格への修正を狙って反対方向で利益を得る
自らインバランスを発生・誘発させる戦略もある

スマートマネーコンセプトでの活用

スマートマネーコンセプトにおいて、相場のインバランスを理解・分析して戦略に取り入れていく事は非常に重要なポイントです。何故なら、スマートマネーが相場のインバランスを利用して利益を獲得する事を重要視おり、同じポイントで利益を得る事が出来れば安定したリターンを獲得する事が出来る様になるからです。

スマートマネーコンセプトを取り入れてトレード戦略を立てる場合、相場に発生するインバランスに対してどの様なアプローチを取っていく事が出来るのかを説明します。主なポイントは3つです。

相場のインバランスを検出できる様になる

スマートマネーコンセプトを自身のトレードに取り入れる事で、市場の流動性や価格の変動を詳細に分析し、その中でインバランスを利用したトレードスキルを手にする事が出来る様になります。

インバランスとは、買い手と売り手の間に生じる需要と供給のバランスを崩している事を示しており、その特徴としては価格の大幅な変動や、トレンド転換の兆候として現れやすくなります。スマートマネーコンセプトを通じてこの特性や仕組みを理解することで、市場の未来がどう遷移していくのかを予測しやすくなります。

スマートマネーコンセプトを活用すると、インバランスの発生やはもちろん、その後の適正価格への修正過程を的確に把握し、それに対応したトレード戦略を立てることが出来る様になります。

特に、インバランス発生後に適正価格への修正が進む過程では、スマートマネーの動向を考慮して、その流れに乗っていく事が重要です。基本的にはスマートマネーはインバランスが修正される方向に資金を流す傾向があり、その修正のタイミングを読み取ることで市場の流れを先読みし、トレードのタイミングや方向性を見極めることができます。

エントリーポイントの特定に役立てられる

上記で述べた通り、インバランスの発生は価格の急激な変動トレンドの転換といった特徴を持つ可能性が非常に高くなります。これらの変化を把握することは、トレードにおいて利益を得るための重要な要素です。

スマートマネーは投資による非常に詳細な分析手法を用いて市場の動向やトレンドを注意深く観察し、エントリーポイントを見極めています。そのため、利益の獲得が期待できるインバランスの検出は、重要なエントリーポイントを特定する為の主たる要素となります。

スマートマネーコンセプトでは、これらのポイントを的確に予測し、自身のトレード戦略に取り入れることで、スマートマネーがこれから参入するエントリーポイントを見極める事が出来ます。市場の動向を読み取り、その市場の中で絶対強者とされるスマートマネーが読み取る流れに乗ることで、利益の増大やリスクの軽減が期待できるのです。

リスク管理を強化する事ができる

インバランスに基づくトレード戦略では、リスク管理が非常に重要です。何故なら、インバランス発生のタイミングでは大きな値動きやトレンドの転換が起こる可能性が高くなる為、適切なリスク管理が出来ないと思わぬ損失を受ける事になるからです。

スマートマネーは市場のどんな場面でもリスクリワード比を考慮し、損失を最小限に抑えながら利益を最大化するようなポジション見つけてエントリーを行います。また、エントリー後もトレードの進行に応じてストップロスや利益確定のポイントを調整することも行います。

こういった各ポイントは発生したインバランスをしっかりと分析する事でチャート上に明確に予測する事が出来る様になります。

【インバランスとスマートマネーコンセプトのおさらい】
・相場のインバランスの発生を検出できる様になる
適切なエントリーポイントがわかるようになる
リスク管理の精度が上がる

まとめ

いかがでしたか?

今回はスマートマネーコンセプトの概念についての基本のセッションの2つ目として、インバランスについて解説をしました。前回のセッションである相場の流動性ともこのインバランスは関係してくるので、基本の部分はしっかりと抑えておくとスマートマネーコンセプト全体の理解が広がっていくと思います。

例えば、相場の流動性が低い時や、相場の流動性の変化する場面では、相場の売買のバランスが崩れやすくなり、大きな価格変動が起こりやすくなります。この相場のバランスが崩れるという事は、インバランスの発生を意味します。

つまりは、相場の流動性が高い場面では売買のバランスが崩れにくく(インバランスが発生しにくく)相場の流動性が低い場面や、相場の流動性の変化する場面では、売買のバランスが崩れやすい(インバランスが発生しやすい)、という事を頭に入れておきましょう。

今回のセッションでは、この部分をしっかり理解しておいて、次のセッションに進んでスマートマネーコンセプトの理解を深めていってもらいたいと思います。

次回はこの記事のインバランスとスマートマネーの動きで軽く触れたマニピュレーションと呼ばれるスマートマネーの価格操作についてのセッションを行っていきたいと思います。

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